3分でわかる脱炭素社会実現に不可欠なインバータのお話

インバーターってなに?

インバータは直流電力を交流電力に変換する装置で、家電や産業用機器に組み込まれています。これにより、交流電力の電圧や周波数を調整してモータの回転数を制御し、モータの効率向上と省エネルギー化が実現されています。世界の消費電力の約半分がモータによるもので、EVの需要増加に伴いモータとインバータの需要も広がっています。これにより、ますますの省エネルギー化が期待されています。
再生可能エネルギーとインバータ
再生可能エネルギーにおいてもインバータ(パワーコンディショナ)が広く使われています。再生可能エネルギーはパワーコンディショナを経由して商用電源と接続されており、再生可能エネルギーから発生した直流電力を交流電力に変換して家庭などに供給します。再生可能エネルギーは出力が小さかったり、変動が大きいため、家庭の電力需要を完全に賄えないことがあります。そこで、発電可能な時は再生可能エネルギーを利用し、不足する場合は商用電源からの補完によって電力の安定供給を実現し、エネルギー効率を向上させています。
再生可能エネルギーに代表される分散型発電は電力系統と連携しており、これを系統連系と呼んでいます。系統連系により、発電余剰分を系統に売り、不足分を電力会社から購入できる仕組みが構築されています。
再生可能エネルギーの課題
電力を安定供給する社会的な要求から、分散型発電が電力系統に接続される際は、系統に障害を与えないような保護機能を備えているかなど、系統連系のガイドラインが設けられています。パワーコンディショナの製造業者は、ガイドラインに沿った製品の製造が求められます。系統連系に関する様々な確認・評価を行うが系統連系試験システムが必要です。この技術は太陽光発電や蓄電システムだけでなく、電気自動車(EV)の蓄電池を活用した「Vehicle to Grid(V2G)」や「Vehicle to Home(V2H)」の評価試験にも応用されています。
インバータの系統連系試験
系統連係試験システムは、パワーコンディショナをあたかも系統連系させた状態を模擬して試験を行うため、様々な電源機器・計測器が含まれます。
電力系統を模擬する交流電源/太陽光発電などの再生可能エネルギーを模擬する直流模擬電源/電力の消費量を変動できる交流模擬負荷装置/パワーコンディショナ出力を観測する計測装置などです。
図は太陽光発電の系統連系試験システムの例を示しています。
試験を行う際は、試験対象となるパワーコンディショナを直接系統に接続できないので交流電源を使用します。交流電源は、停電や電圧の急変、ひずみ波の生成など、系統で発生する現象のシミュレーションを、出力波形の品位を保った上で行うことが求められます。高品位波形を出力することで、再現性の高い試験が可能です。

再生可能エネルギーを使用した分散型電源の大量導入にあたり、多数台のパワーコンディショナが同時に動作したり、P2P電力取引など、新たな電気の流れが発生しています。
そのようなニーズに対応したインバータ技術がますます重要となり不可欠なものになっています。