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3分でわかるEMC(基礎編)のお話
2025年02月17日

3分でわかるEMC(基礎編)のお話
3分でわかるEMC(基礎編)のお話

3分でわかるEMC(基礎編)のお話

ポイント

  • EMC(電磁環境両立性)とは、機器が他の機器に干渉せず、また他の機器からの干渉も受けない状態を指します。
  • EMI(電磁妨害)は、機器が発する電磁波が他の機器に干渉する現象を指し、EMS(耐ノイズ性)は、機器が外部からの電磁波に対してどれだけ耐えられるかを示します。
  • 電波暗室は、電磁波の反射を抑えた精密な測定に使用されます。シールドルームは、電磁波の漏れや外部からの影響を防ぐための試験に使用されます。

 

EMCとは

EMCとはElectro-Magnetic Compatibility の略であり、電磁両立性や電磁環境両立性などとも呼ばれます。簡単に言えば、機器がその動作によって他のものに妨害を与えず、またその動作が他のものによって妨害されないならば、EMCが問題なく成り立っているということになります。​

 

 

 

EMIとEMSの違い

EMI(電磁妨害):
Electro Magnetic Interferenceノイズを出して他の機器の動作に影響を与える事。エミッションノイズ、放射ノイズ、不要輻射ノイズ等と表現される。
EMS(耐ノイズ性) :
Electro Magnetic Susceptibilityノイズを受けた場合の耐性を表す事。イミュニティ耐性や感受性などと表現される。​

 

EMCの種類​

 

電波暗室とシールドルームの使い分け​

基本的に放射系試験を行う場合は電波暗室を、伝導系試験を行う場合はシールドルームを使用します。また、静電気試験(ESD試験)、ファストトランジェント(EFT試験)、サージ試験がありますが、規格上ではこれらの試験を行う場合、シールドルームの使用は指定されておりませんが、その使用が推奨されています。

 

 

電波暗室とシールドルームの違い

電波吸収体がある

電波暗室(Anechoic Chamber)
電波暗室とは、外部からの電磁波の影響を受けず、かつ外部に電磁波を漏らさず、さらに内部で電磁波が反射しないように電波吸収体を張り付けて、設計・施工されたシールド空間のことである。したがって、周囲の電波環境に影響されない放射ノイズ試験を行う装置である​

電波吸収体がない

シールドルーム(Shielding Room)
シールドルームとは、電磁波を遮蔽した部屋のこと。電磁波の外部からの侵入と、内部からの漏洩を低減・遮断するために、主に金属製の板や金網、導電性材料などで部屋全体を覆い囲んであり、伝導ノイズ試験を行う試験装置である。​

 

EMC対策の重要性​

 

  1. 法規制への適合
    多くの国では、電子機器が販売される際にEMC規格の適合が義務付けられています(例:CEマーキング、FCC認証など)。
     
  2. 製品信頼性の向上
    EMC評価に合格することで、製品が様々な環境で安定して動作することを保証できます。これにより、顧客満足度やブランド信頼性が向上します。
     
  3. 市場競争力の強化
    EMCを適切に考慮した製品は、高品質の証とされ、国際市場での競争力を高めます。
     
  4. トラブル防止
    他の機器やシステムへの干渉を防ぐことで、クレームや修理コストの削減につながります。

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