RoHS特集「3分でわかるRoHS対応分析のお話」(2020年更新)

RoHS特集「3分でわかるRoHS対応分析のお話」(2020年最新)

RoHSとは?

国内のRoHS対応製品(例)ヨーロッパ EUにおける規制で、「Restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment」。電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令の略称が RoHS(ローズ あるいは ロース)です。

電気、電子機器について、次の物質を非含有(許容濃度以下)とするというものです。

  • 鉛 (Pb)
  • 水銀 (Hg)
  • カドミウム (Cd)
  • 六価クロム (
  • ポリ臭素化ビフェニル (PBB)
  • ポリ臭素化ジフェニルエーテル (PBDE)

PBB、PBDEは、難燃剤として樹脂に添加して用いられることがある物質です。
ヨーロッパでの規制と言いながら、日本国内で使用予定の製品の部品にもRoHS対応であることが求められています。

RoHSにフタル酸エステル4物質が追加されます。

従来、対象物質は上記6物質でしたが、2015年6月4日、以下の4物質が追加され、2019年7月22日より含有規制が発効しました。

  • フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)
  • フタル酸ブチルベンジル(BBP)
  • フタル酸ジブチル(DBP)
  • フタル酸ジイソブチル(DIBP)

フタル酸エステル類は、可塑剤として塩化ビニル樹脂等を柔らかくするのに用いられる物質です。

RoHS適用範囲が拡がります。

RoHS適用範囲と規制時期

2006年7月1日 RoHS 有害物質規制発効(1~7、10のカテゴリ対象)
2011年7月1日 改正RoHS公布
2014年7月22日 医療機器(カテゴリ8)および制御機器(カテゴリ9)に適用
2016年7月22日 インビトロ診断用医療機器(体外診断用医療機器)
(カテゴリ8の一部)に適用
2017年7月22日 工業用監視・制御機器(カテゴリ9の一部)に適用
2019年7月22日 カテゴリ11(1~10のカテゴリ以外の電気電子機器)に適用
フタル酸エステル類4物質の含有制限適用(カテゴリ1~7、10、11)
2021年7月22日 医療機器(カテゴリ8)、監視・制御機器(カテゴリ9)に
フタル酸エステル類4物質の含有制限適用

<対象製品カテゴリ>

1:大型家庭用電気製品
2:小型家庭用電気製品
3:IT及び遠隔通信機器
4:民生用機器
5:照明装置
6:電動工具
7:玩具、レジャー、スポーツ機器
8:医療用機器
9:監視および制御機器
10:自動販売機
11:上記のカテゴリ以外のその他の電気電子機器

従来、RoHS対象外だった、医療機器や制御機器にも対象が拡大しています。

RoHSにおける最大許容濃度は?

均質材料中の重量比

●カドミウム(Cd)のみ 100ppm以内
●鉛(Pb)、水銀(Hg)、六価クロム()、PBB、PBDE、DEHP、BBP、DBP、DIBP は
 それぞれ 1000ppm以内

RoHS指令関連物質の主な分析法は?

 
RoHS対象物質 スクリーニング分析法 詳細分析法
カドミウム (Cd)
水銀 (Hg)
鉛 (Pb)
蛍光X線法  ICP発光分光分析法
六価クロム ( 蛍光X線法(全Cr分析) 吸光光度法
イオンクロマトグラフ法
ポリ臭化ビフェニル(PBB)
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
蛍光X線法(全Br分析) 溶媒抽出GC/MS分析法
熱脱着-GC/MS分析法  
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)
フタル酸ブチルベンジル(BBP)
フタル酸ジブチル(DBP)
フタル酸ジイソブチル(DIBP)
加熱脱離イオン化
質量分析法
溶媒抽出GC/MS分析法
熱脱着-GC/MS分析法  

蛍光X線では、0価、3価、6価のクロムは区別できません。トータルクロムとして測定できます。
トータルクロムで1000ppm以下であれば、六価クロムは1000ppm以下と言えますが、トータルクロム1000ppmを超えるとき、六価クロムとして1000ppm以下かそれ以上かは分かりません。

同様に、トータル臭素としては測定できますが、PBB、PBDEであるかどうかは分かりません。
GC/MSであれば、PBB、PBDEが測定できます。

フタル酸エステル類は、加熱脱離イオン質量分析計やGC/MSで測定できます。

RoHSにどう対応すればよいでしょうか?

製品中にRoHS物質を含まないことを宣言する必要があります。
しかし、全製品、全ロットを測定することは不可能です。
実際にはどうしているのでしょう。

(1)サプライヤーの非含有証明を確認する(書面確認)。
(2)自ら検査する。
(3)第三者の分析機関で検査する。

上記を組み合わせて、製品中にRoHS物質が含まれないような監視体制をとっています。通常の管理には、蛍光X線が使われます。詳細分析にICPほか各種分析が使われます。

また、有機物であるフタル酸エステル類、臭素系難燃剤には、加熱脱離イオン質量分析計GC/MSが使われます。

RoHS豆知識テスト

RoHSに関する5つの設問を用意しました。
あなたの知識をチェックしてみてください。

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